転職をしようか迷っているけれど、特にやりたいこともないので会社や求人選びで躓いている。 インターネットに転職に関する記事が溢れていて、どの情報を信じていいのかわからない。 このように、転職が初めての人や転職をするか悩んでいる人、信頼性の高い情報が欲しい人にお勧めの本があります。 それが、『このまま今の会社にいいのかと一度でも思ったら読む転職の思考法』北野唯我著(2018年6月 ダイヤモンド社 発行) 人材エージェントでコンサルタントをする私が、本書のオススメポイントをご紹介します。
目次
- ここがポイント!『このまま今の会社にいいのかと一度でも思ったら読む転職の思考法』
- 北野唯我さんって?
- この本のここがスゴイ!今後伸びる業界の評価方法がわかる
- 例えば、こんな事例を紹介
- 働く意味や転職すべきか?などのギモンが解決される
- 転職&キャリア形成に役に立つヒントが盛りだくさん
- 多くの転職希望者が判断に迷うケースについても答えがある!
- 人材サービス会社では得られないキャリア形成の秘訣もフォロー
- 転職活動に生きるアドバイスが詰まった珠玉の一冊
- ①働きやすい会社を探している人に対してのアドバイス
- ②ベンチャー企業での転職を検討している人へのアドバイス
- ③企業に関するリアルな情報が欲しい人へのアドバイス
- ④会社選びの方法についてのアドバイス
- ⑤転職活動終盤で迷いが生じた人に対してのアドバイス
- まとめ
ここがポイント!『このまま今の会社にいいのかと一度でも思ったら読む転職の思考法』
転職に際し、よく見られる悩みに対し全包囲網で答えてくれる一冊で、ビジネス・経営部門のカテゴリながらストーリー形式で解説。
主人公は転職を考えている青野で、彼が勤める会社の内情を絡めながら話が進んでいきます。
キーマンは、コンサルタントの黒岩。
彼が、転職を成功に導く方法をレクチャーします。
それを受けた主人公が自分に何ができて、何がしたいのか、そして、働く意味を悩み考えながら転職先を見つけていくというストーリーです。
これがまた、物語としても面白いんです!
北野唯我さんって?
兵庫県出身 神戸大学経営学部卒
就職氷河期に博報堂へ入社し、経営企画局・経理財務局で勤務。ボストンコンサルティンググループを経て、2016年ハイクラス層を対象にした人材ポータルサイトを運営するワンキャリアに参画、サイトの編集長としてコラム執筆や対談、企業現場の取材を行っています。
博報堂、ボスコン、人材ビジネスというキャリアがスゴイですよね。
テレビ番組のほか、日本経済新聞、プレジデントなどのビジネス誌で「職業人生設計」の専門家としてコメントを寄せているそうです。
この本のここがスゴイ!今後伸びる業界の評価方法がわかる
プロフィールに記載の通り、キャリア設計のスペシャリストとして活躍してきた本書の著者。
バックグラウンドとして、コンサルタントの経歴や就職サイトの編集長としての経験があります。
人材サービスのエージェントとしての知識に加えて、経理財務の視点から見る会社の評価方法を熟知している人物。
だから、人材業界一筋の人よりも今後伸びる業界や企業の見方に信頼がおけるということです。
例えば、こんな事例を紹介
伸びるサービスは、業界の非効率を必ず突いてくる。業界が30年以上続いていて、かつその業界の中に非効率があり、まったく違うアプローチで攻めている事業を持つ会社。そのロジックさえ正しければ、遅かれ早かれ、その企業は成長する
現に昔は売り切り型だったHPや企業内で使用するシステムが、現在は課金型に変化してきています。
引用箇所を読み解くと、いち早く課金型を始めた企業が成長していき、いつまでも売り切り型を行っている企業が衰退していくことが見えてきます。
他にも伸びる業界・企業の見分け方や転職してはいけない企業についての記述があります。
働く意味や転職すべきか?などのギモンが解決される
転職にあたって、多くの人がぶつかる「自分が何をしたいのかわからない」という悩み。
本書の主人公も何がしたいのかわからずに悩みながら、転職をしようか迷っている状況。
その中でコンサルタントに働く意味を問われ、働く意味を模索して自分が今後何をするべきか考えながら転職先を見つけていきます。
主人公がどんな答えを見つけて転職先で何をするのかは、本書を読んで確認してみてください。
何をしたいのかわからない、と悩んでいる人は本書を読みながら主人公に自身を置き換えて、自分なりの答えを見つけてみましょう。
転職&キャリア形成に役に立つヒントが盛りだくさん
20代で転職をするのと30代で転職をするのではキャリア形成の方法は異なります。また、男女間でもしかり。
本書にキャリア形成についての章があるわけではありませんが、キャリア形成のヒントになる一文が随所に散りばめられています。
多くの転職希望者が判断に迷うケースについても答えがある!
例えば、専門性と経験ならどちらを先に身につけるべきか、という本書の主人公の問いに対しこう答えています。
つまり、専門性のある人間にこそ『貴重な経験』が回ってくる、こういう構造なんだ。そもそも、『貴重な経験』は簡単に得られるわけではない。会社の重要なプロジェクトはいつも専門性の高いエース社員が任されるだろ?当たり前だ。言い換えれば、専門性のないやつに打席は回ってこない。だから、20代は専門性を身につけて、それを生かして30代は経験をとりにいくのがベストだ
ほんとその通りだと思います。
人材サービス会社では得られないキャリア形成の秘訣もフォロー
一般的には人材サービス会社へ登録に行くと、キャリアカウンセリングを必ず行います。
ただしあくまでも、職務経歴の棚卸しと転職先の希望条件のヒアリング、転職先で何をしたいか、など転職活動に必要な条件をヒアリングされるだけ。
キャリア形成について、教えてくれることはほとんどありません。
その点本書は、そのヒントがちょこちょこ出てきます。見逃さないようにしてください。
転職活動に生きるアドバイスが詰まった珠玉の一冊
長引けば長引くほど辛くなる転職活動。
多くの求人を見ているとどの会社も良く見えてきて、本来の希望と異なる条件の転職先に入社してしまった、という失敗例は多くあります。
誰かにアドバイスして欲しい、と思ったら本書を開いてください。
特に、肝に銘じて欲しいのがこれからあげる5点です。
①働きやすい会社を探している人に対してのアドバイス
まず、前提として理解しておくべきことがある。『働きやすさ』は極めて重要だが、マーケットバリューと相反するものではない。むしろ長期的には一致することが多いマーケットバリューが高い人が集まる会社のほうが、長い目で見ると、働きやすい
多くの転職希望者は「働きやすい=福利厚生や待遇または人間関係」と考え、売り上げや利益率などを無視して受入れ先の企業を探してしまいます。
しかし、経営がよくなくては福利厚生も良くありませんし、人間関係も悪くなってしまいがち。
目先のことばかりでなく、視野を広く持って見極めることが重要です。
②ベンチャー企業での転職を検討している人へのアドバイス
黒岩のアドバイスの二つ目は「現場の優秀さを見よ」。
面接担当社員に聞いても「優秀だ」と答えるのは当然なので、黒岩からはこう言われていた。
・現場のメンバーだけの面談をセットしてもらい、そのときの反応を見ること
・現場のメンバーと面談ができた場合、逆質問を自分から積極的にすること。その質問に、現場のメンバーが的確に答えられれば、よい。反対に答えられなければ、経営陣は優秀であるが、現場はダメである可能性が高い”
この一節は、まさに核心をついたもの。実際に置き換えても、ワンマンな会社か?風通しのよい職場か?がひと目でわかります。
コンサルタント・黒岩のアドバイスを現実に置き換えた例
例えば、ベンチャー企業から求人広告会社へ出稿の依頼がきたしとしましょう。
当該の広告代理店は、大手との差別化をするためのアピールを提案を行います。
「面接ではなく創業者との面談に変更する」
「カフェでの面談もいいが、他の社員が働いている様子が見えるオフィス内で行う」
「求職者からの要望があれば現場のメンバーとの面談も行う」
例えばこの3つは、ベンチャー企業では働く環境が厳しいうえ福利厚生も充実していないことが多い点をカバーした例。
アピールポイントを働きがいやメンバーとの相性に重点をおき、マッチングの後押しにしようとした施策です。
これらの観点から、本書のアドバイスは非常に役に立つと言えるでしょう。
③企業に関するリアルな情報が欲しい人へのアドバイス
もしそんな人間が周りにいなければ、ネットの口コミを使うのもいい。ネットは、一昔前までは信頼できない情報ばかりだったが、今は信頼できるものもある。ただそ、注意点は、他の企業と比較しながら見ることが。なぜなら、ネットに口コミを書くやつは基本的に会社に対してネガティブな印象を持っていることが多い。とくに給与に関する記述は、成果を出していないやつほど、どの会社でも不満を持つ。だが、他社と比較すれば、ひとまずの参考にはなる”
情報過多の現代社会で、ネットの口コミをどの程度信用していいのか、悩む人が多いのは事実です。
本書にあるように、ある程度信頼性の高い口コミを記載しているサイトが増えているなかで、ネガティブな気持ちで書き込んでいる人も少なくありません。
他社の口コミと比較しながら、話半分で読むようにする程度が適切。風評があることもふまえ踊らさず、情報を活用することが大切です。
④会社選びの方法についてのアドバイス
まず一つ目だ。会社は普通、中途社員と新卒社員のバランスよくできている。だが、中には明らかに『中途重視の会社』と『新卒重視の会社』がある。そして後者の場合、中途の社員は、活躍できる範囲がかなり限定的になる。タナベテクノロジーの経営陣を見てみろ。創業メンバー以外、全員新卒上がりだ”
転職エージェントでは、企業から依頼が来た時に中途社員の割合と活躍している人の状況をヒアリングしています。
本書にあるように、企業によっては新卒社員を「○○組」や「○○っこ」と特別扱いをして辛い現場に回さず、中途社員を配属している企業があります。
反対に中途社員は経験により飛び級をさせて、入社して半年でプロジェクトマネージャーや新人教育担当などに抜擢する企業も。
転職するのであれば、新卒・中途も関係なく活躍できる会社を選びましょう。
⑤転職活動終盤で迷いが生じた人に対してのアドバイス
それでも、君は転職したほうがいい。転職活動も終盤になると、様々なことを言われる。どんな人間でも迷いは生じる。当然の話だ。だが、そのときに思い出すべきことは、最初の目的なんだよ。そもそも、君が転職する目的はなんだったんだ。
この問いかけは、求職者が内定をもらいながら転職するか悩んだ作中の主人公に転職エージェントが問いかける言葉と同じものです。
転職の相談を相手がいない場合や求人サイトのみで転職活動している人は、疑問や不安、迷いが生じたら何度も読み返してみましょう。
まとめ
初めて転職をする人は、何から手をつけていいのかわからない人が多いでしょう。
また、転職するのであれば失敗はしたくないのも当たり前の話。
その点をフォローするためにも、スタンスや考え方をしっかりした状態で挑んでいきたいところ。
とくに、本書には初めて転職する人が知りたいことが記載されています。
転職をしようか悩んでいる人、キャリア形成で悩んでいる人、転職決意した人、ぜひ一読を。